(※追記:一回見ただけの記憶で書いてたので間違ってるところもあります)
夏油の闇落ちがわからない人が結構いるみたいなので、私の解釈を書いてみました。
闇落ちまでの心情
理子の一件で人間の醜さ、身勝手さを見せつけられる。
自分が守ろうとしていた非術師は、何も悪いことなどしていない普通の少女の死をにこやかに拍手しながら喜ぶ奴らなのか。
いや、あんな連中は極一部のはずだ。自分たち力のある術師は、力のない非術師を守るためにある。
そう、あんなのは極一部だけだ。
後輩が死んだ。
元気で明るく真っすぐな少年だった。
任務についている途中で命を落とした。予想外に強い呪霊だったという。
術師ならば任務中に命を落とすことだってある。彼もそういうことがあるとわかっていて術師になったはずだ。そう、非術師を守るための術師として彼は立派に働いた。
呼び出されて行った村では、幼い双子が暗い座敷牢に閉じ込められ罵声を浴びせられていた。
この子供たちが騒ぎを起こしているというが、原因はこの子たちでは無い。
だが術師である自分や術師の素養のある幼い子供の言うことなど聞かず、信じず、否定し、自分の主張だけを通そうとする非術師。
それはこの場にいる大人だけではない。この子供たちをこのような目にあわせているのは、村中の人間。
醜い人間は極一部だけではなかったのか。あの団体だけではなかったのか。
祓っても祓っても未だ増え続ける呪霊。それを生み出す醜い人間がそれだけいるということなのか。
何もしていない幼い子供を殺すのが正しいことなのか。今の自分は暴言を繰り返す大人の、非術師を守る側の立場にいる。何故こんな醜い者たちを守るために、幼い子供が、大切な仲間が、普通の少女が、犠牲にならなければならないのか。
そもそも呪いを生み出すのは自分勝手な非術師。力を持たないくせに邪悪なモノを生み出す。そんなものを守る必要があるのだろうか。
・・・術師は呪霊を生み出さない。
己の欲で己たちを危険にさらす非術師など、守る意味が、存在する意味があるのだろうか。
術師になる素質のある者以外は、皆いなくなってしまえば、平和になるのではないか。
『祓う、取り込む、その繰り返し』
非術師が呪霊を生み、術師は非術師を守るために犠牲になる、その繰り返し。
これまでも、これからも、ずっと。
閉塞感
元々夏油は呪霊を体内に取り込む術師。
「吐瀉物を処理した雑巾」の味。それは呪霊を生み出す人間たちの、負の感情の味なのではないか。
それを日常的に取り込んできた夏油は、他の人物よりも無意識ながらそれを感じ取っていて、少しずつ浸食されていっていたのかもしれない。ミイラ取りがミイラになるように。
そして親しい人たちとの別れ。
悟は変わった。あの一件でさらに強くなった。「二人で最強」だったのに一人で十分なほどに。
悟とも家入とも一緒に過ごす時間が減り、心に抱えたものを発散することが出来なくなっていたのだろう。OPやEDのようにバカやってる日常は癒しだったのだ。
そんな中で後輩が死んだ。あまり描写されなかったので主にOPやEDの印象なのだが、陽キャで人懐っこそう。そんな彼は、陰鬱とした呪術師の世界の中で清涼剤の役割もしていたのだろう。元気で明るい人がいきなり亡くなるのは相当ダメージが大きい。しかも特に危険なわけではないはずの任務なので尚更。
理子が死んだのは人間の身勝手さのせい。灰原が死んだのは人間が生み出した呪霊のせい。術師は人知れず非術師のために犠牲になり続ける。それが延々と続く。呪霊を生み出し続ける非術師がいる限り。
だから呪詛師になった。このループから抜け出すために。
世界中の非術師を排除するという到底叶わないような願いだとしても。それでも、この醜いループから抜け出すためには藁をもつかむ状態だったのかもしれない。
離反したあと悟を誘ったのは、そんな荒唐無稽な夢でも最強となった悟が協力してくれるなら叶う可能性が上がるから。
そしてそれもあるだろうけど、また「二人で」一緒にいたかったのもあるだろう。
(追記:後で見返したら誘って無かったw勘違いしてたw)
二人の道は違えてしまったが、それでも夏油の顔は悩んでいた頃より晴れやかだった。変われる可能性を得たからだろう。この世界に何か一石を投じたかったのかもしれない。例え無理だったとしても、やれるだけのことはやってみたいと。
もしかしたら最強となって変わった悟を見て、変われる可能性を感じたのかもしれない。
醜い猿
盤星教が理子を殺したかったのは、天元様に異物が混じったらやーやーなの!という理由。
同化しなければ天元が人類の敵となって世界が滅ぶかもしれないのに、そうなったらそうなったでそれも運命。我々は受け入れる。他の人間が巻き込まれても知らん。世界がどうなっても知らん。天元様が穢れない天元様ならそれでいい、という自分勝手なもの。
そんな理由で、理子は殺された。
同化させたくないのならそんなやり方でなくともよかったはず。説得したり、五条や夏油がやろうとしたように逃がす手もあったはず。
その場合術師たちから追手が迫ったりするかもしれない。夏油や五条はそうしてでも理子を守ろうとした。
でも盤星教はそんなことやろうともせず、他の手段を探ることもせず、簡単に、単純に、殺せばいいと選択した。
それも人を雇ってあとは待つだけ。
自分たちは犠牲を払いたくない。でも望みは叶えたい。
そんな己の欲のまま動く自分勝手な醜い人間・・・いや、こいつらは知性を持つ人間ではなく、思考出来ない原始的な猿だ。夏油がそう思ってもおかしくない。
徹底的に
親を殺したのは、特例があってはいけない、判定は平等に、ということだろう。それに好悪で決めていたら、生き延びたいと思う人は媚を売るようになる。夏油に近しい人は助かるのなら、両親に取り入ろうとするだろうしそれに成功したら「私はあの権力者と仲がいい」として周りに優位な立場で接するようになるだろう。
そうなったら嫉妬や媚や嫌悪やら、また呪霊を生み出す要因となる。
それに両親も、今は良くてもいつ呪霊を生み出すようになるかわからない。息子のやろうとしていることに反対して負の感情を吐き出すかもしれない。
そうでなくても周りから責められたり、切り札として人質にとられるかもしれない。
だから「呪霊を生み出す可能性のある非術師かそうでないか」で判断する。例外はあってはならない。
そこには夏油の真面目さもあるのだろう。覚悟の表れでも。
最後に
夏油は人間(非術師)というものに失望して闇落ちしたのだろう。
そして今のままだと何も変わらず、術師は非術師のために犠牲になり続ける未来しかないという絶望も。
五条先生が夏油の心に気づかなかったのは最強になってハイになってたからか、力があれば天内を守れたという思いがあり、強くなろうと夢中になっていたからか。
でも伏黒パパと戦うときに天内の死について悲しいとか怒りとかなかったみたいだからなあ。強大な力を手に入れて出来ることがどんどん増えていくのが楽しくて夢中になって気づかなかったのかな。
まだ若かったし自分のことだけで周りを気に掛ける余裕がなかったのだろう。